喫茶店の扉を開けたところで立ち止まり、考える。
「アズ……?」
「あぁ……ごめんごめん」
不審がってる洸の声に気づくのには、ずいぶん時間がかかった。
……なんで嫌なんだ?
別にいいじゃん、みんなが洸を男子として好きになったって。
むしろ、いいことなんじゃないの?
なんで、嫌だと思ったんだ……?
……答えは結局出ないまま。
「お疲れ様でしたー」
「へェ、なかなか似合うじゃん」
美容院の鏡に、髪を切ったあたしと洸が映っていた。
洸の勧めで、ちょっとシルエットが丸くなるように、女の子っぽくなるように。

