「とりあえず、待たせたお詫び」
そう言って洸は、テーブルに置いてあった伝票を持っていった。
洸を待っている間に飲んだオレンジジュースの代金が書いてある。
「あ……ありがとう」
洸が行ってしまうので、慌ててかばんを持って追いかける。
「よし、駅行こうか」
喫茶店を出て、振り返る洸。
そんな何気ない仕草に……不覚中の不覚にも、どきりとさせられた。
男姿で私服でいるの、初めて見たし。
寮では男姿だけど、男女兼用もできるようなルームウェアだし……。
やっぱり洸って格好いいよなァ。
みんな洸の素顔を知ってたら、ちゃんとキャーキャー騒げるのに……。
……いや、やっぱりみんなが"洸"の魅力に気づいちゃうのなんて嫌かも。

