「んー、だから気にしないで。
さぁて、そろそろ戻るかー! なんかすっきりしたし」
な、と笑いかけてくる。
その目はもう……さっき満月を睨んでいたものとは、かけ離れていた。
「まったく……あたしはぜんぜんすっきりしないっての」
唇を尖らせてみるも、洸にぜんぜん相手にされない。
あわてて後を追う。
「……アズ」
「ん?」
突然、神妙な顔をして振り返った洸。
しばらくあたしの顔を見つめていたけれど……。
「……何でもない」
にっと笑って、また前に歩き出した。
「何だよ洸、そればっかじゃん!」
「ごめんごめんー。
あ、これいる?」
お気楽に笑う洸。
小さな紙を差し出してきた。

