「アズ様、お疲れ様でした!」


「うん、本当疲れたよ」



沙織がグラスを2つ持ってやってきた。


そのうちの1つをもらって、そのままグラスどうしをぶつける。



「みなさんどんどん召し上がってくださいね!」


「はぁい!」



教室ではあまり見せない、弾けそうな笑顔。


お嬢様とはいえ……普通の女子高生だ。


……一人を除けばな。




「……ん、あれ、洸?」


ふと気がつくと、さっきまで近くにいたその"一人"がいなくなっていた。


「洸様ならさっき、バルコニーへ向かいましたよ?」