「正直……どっちが勝ったか、分かんない。
……同時だった」
「……ッ!」
つーっと、何かが頬を伝うのがわかった。
でもそれが何かなんて、確かめたくなかった。
認めたくなかった。
『こんなこと……過去にありません!
リレーで、両者同時にゴールなんて……!
そもそも、二人で走りきってしまうなんて事が前代未聞!」
……勝てなかった。
つまり、負けだ。
……あたしがここで勝ったら、白組は勝ってたのに。
あたしが、勝ってたら……。
「アズ……」
ぽろぽろと涙を流すあたしを、洸が優しく抱きしめてくれた。
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