グラウンドで、出場選手として並ぶあたしたち。
……いや、"あたしと洸"。
もう、選抜リレーのメンバーはいない。
それどころか、白組全体でもう選手が一人もいないのだ。
「全部で8週……2で割ると、一人4週。
洸、これくらい走れるでしょ?」
「……走れないって言ったって、走るしかないしね」
先行くね、とコースに並んだ洸。
短距離リレーにペース配分を考えないといけないなんて。
でもこれは、逆転の"チャンス"!
『位置についてー、用意……』
パァン、という音と共に、赤組の応援席から声援が聞こえる。
白組の応援席には、誰もいないから……。
「洸ー! 負けるな! "チャンス"だぞ!!」
……あたしが応援しなくちゃ。

