「バッカだなー、アズは」



……誰かが小さく呟いた。



「うっさいこのヤロウ! お前にばかって言われたくない!!」


「……おいおい、小学5年生相手に喧嘩するなよ。バカかお前は」


「バカじゃねェし! お前ら年上に向かってなんだその態度は!!」


「え、"兄ちゃん"、女子校に通うの?」




……ケラケラと笑う弟たちの中で、一番幼い7番目の弟が、地雷を踏んだ。


そのことにいち早く気づいたほかの弟たちは、一目散に逃げていった。


具体的には、キッチン、ベランダ、押入れなどに。



一人逃げ遅れたそいつは、にこやかな笑顔を浮かべるあたしに捕まる。