沙織に聞いたとおり速い洸の足では、あっという間に応援席の目の前まで来てしまって。
ぱしっとあたしの腕を掴むやいなや、ゴールへ向かって走り出した。
「ち……ちょっと待って洸! 何これ!」
「うるせェ……お前が"お題"なんだよ!」
小声で返事をし、一層速く走る洸。
あたしでさえついて行くので精一杯。
あたしが"お題"って……なんだ?
"ルームメイト"とか?
『さて、真っ先にゴールしたのは白組1年如月洸!
ここで審判によるお題のチェックが行われます』
「はいはい、紙見せてねー」
実況の声と同時に、先生と思われる大人の男性が現れる。
洸はポケットから紙切れを取り出し、彼に渡した。