そうぼんやりとグラウンドを見つめていたら、気がつくと視線が洸を追っていた。
そっか……洸は障害物競走の選手だったっけ。
数々のトラップを潜り抜けて、グラウンドを一周する。
そして最後の方に、お題が書いた紙があって、それに沿った物を持ってくるというのだから……これは障害物競走ではないと思う。
どうやらお嬢様は、障害物競走と借り物競争を同じものだと思ってるらしい。
『位置についてー、用意……』
銃声とともに、軽やかな音楽が流れる。
選手は一斉に走り出して、まずハードルを飛び越える。
「洸様ーッ! 頑張って、赤組なんかに負けないでーッ!」
そうだ、これでは卑怯な手なんて使えない。
やっと真っ向勝負が出来るだろうか。
洸……頑張れ……!

