「アズは髪やらなくていいのに。
なんで私より遅いの?」
きっと可愛らしく笑ってるのだろう、表情が目に浮かぶ。
「う、うるさい」
きっと洸にはあたしの気持ちなんて分かんないだろう。
あたしが赤面した理由なんて死んでも分かんないだろう。
「ごめん、いいよ」
そう言いながら振り返ると……
「ん」
小さく返事して振り返ったのは、この上ない萌え美人。
高すぎない位置でポニーテールを結って、惜しげもなくうなじを晒している。
そしてその髪の先はきれいな弧を描いていた。
アキバに出たら3秒で人だかりが出来るような美女を前に呆然とするあたしを華麗にスルーして、しきりの役割をしていたカーテンを開け放つ。

