ふぅ、とため息をついて洸が離れるころには、あたしはゼェゼェ言っていた。


窒息死させる気か、お前は。



窒息死、させ……


「……」

……さ、せ…………


「…………」



……ちょっとちょっとちょっと待った、なんだこの空気。


洸が話しかけて来いなんて言うから、余計に声かけずらくなった。


教室の前のほうからきゃっきゃきゃっきゃと笑い声が聞こえるけれど、それでもここにあるのは沈黙の中の衣擦れの音だけ。


なんか……恥ずかしくなってきた。




「……アズ、着替え終わった?」



一人で赤面していたら、不意に聞こえた洸の声。


もちろん女の子の方。



「んー……だいたい。あと30秒待って」


自然に自然に、と心がけながら、大急ぎでボタンを留める。