「ちょっと待った! やっぱこれこの状況マズ……」
「バカ黙れ! 外に聞こえたら不審がられる!」
まるであたしが叫びだすことなんて想定内、とでも言うように自然にあたしの口を塞ぐ。
「いいか! 俺は左半分、お前は右半分を使って着替えろ。
その間お互い振り返ることは一切禁止!
……まぁ、お前が俺を信用できねェならこっち見て着替えてもいーけど」
……そんなんあたしが嫌だわ!
お互い外向いてます!
……口にしたら殺されかけないので、必死にうなずく。
「でも全く話し声がないのはおかしいから、普通に話しかけて来い。
いいな? わかったか?」
ただでさえ近い距離を、ぐいっと縮めて問いただす。
早く手を離してほしくて、ぶんぶんと頭を縦に振る。