ここのトイレはマイナーなのか、男子トイレにも一人もいない。
周りを見回して、人に見つからないようにトイレから出る。
目の前は紳士用服売り場……ちょうど良すぎる。
「これ、タグ切ってください!」
目の前にあったスラックスをサイズも確認せずにレジへ持っていく。
ブラウスの胸ポケットに入っている生徒手帳。
そこに5千円札が2枚入っている。
買ったスラックスを持って、今度は試着室に飛び込んだ。
急がないと……さすがのあいつらも怪しがるだろう。
シフォンスカートとカツラを今のショッピングバッグに入れて、スラックスを穿き、黒いリボンをネクタイのようにしばる。
靴は、ローファーを履いてきて本当によかった。

