確かこの人に……助けられたんだ。
見ると、隣にももう一人男の人がいる。
彼は、深谷史人と名乗った。
「あたし……桜木梓って言います。
助けてくれて、ありがとう……」
見るとあたしの首元に当ててあったのは、タオルに包んだ保冷剤だった。
深谷君が買ってきたものだと言う。
……でも、それよりあたしは……。
「あの、すいません。あたしの他に、女の子知りませんか?
明るい茶色の、長い髪の……あと、白いブラウスに紺のスカートで……」
……洸が、心配だ。
なんで洸がいないの?
洸はそんな遠くに行ったはずじゃないから……こんなに帰りが遅いわけない。

