こんな人が多いところで、しゃがみこむわけにはいかない。 なんとか、ベンチまで……! ……ドンッ………… 「あ……すいませ……」 不意に誰かと肩がぶつかる。 足に力が入らなくて、それだけのことで倒れこんでしまう。 必死に立とうとするけれど、世界が斜めになっているようで……うまく立てない。 「え……大丈夫ですか……? もしかして、体調でも……」 ぶつかった相手は男性みたいだ。 その人が声をかけてくれるけれど、返事ができない。