「私は、君を利用しようとした。
あの時、結婚には興味がなかった。
ただ、年々増えつづける縁談話を断りつづけるのにも嫌気が差していた。
そこへ降って湧いたかのように婚約話だ。しかも、相手には身寄りがなく、何の後ろ盾もないという。
邪魔にならないだろうと思った。放っておいて、自分は好きなようにすればいい。
原島は何度も電話をかけてきたが、聞く耳を持たず、相手の名前すら確かめようとしなかった。
君が一番傷ついて、誰かを必要としていた時に、自分のことしか考えていなかった。
家に帰って来てからも、君にとった態度は酷いものだった。
以前に会っていることを君は忘れていたが、あの時、君が家を飛び出そうとした時まで、私も忘れていた。
悪かった。
許してくれとは言えない。
今は、そんな自分が悔やんでも悔やみ切れない」
そう言った涼輔さんは、歯を食いしばっていた。
あの時、結婚には興味がなかった。
ただ、年々増えつづける縁談話を断りつづけるのにも嫌気が差していた。
そこへ降って湧いたかのように婚約話だ。しかも、相手には身寄りがなく、何の後ろ盾もないという。
邪魔にならないだろうと思った。放っておいて、自分は好きなようにすればいい。
原島は何度も電話をかけてきたが、聞く耳を持たず、相手の名前すら確かめようとしなかった。
君が一番傷ついて、誰かを必要としていた時に、自分のことしか考えていなかった。
家に帰って来てからも、君にとった態度は酷いものだった。
以前に会っていることを君は忘れていたが、あの時、君が家を飛び出そうとした時まで、私も忘れていた。
悪かった。
許してくれとは言えない。
今は、そんな自分が悔やんでも悔やみ切れない」
そう言った涼輔さんは、歯を食いしばっていた。