「そういえば先輩、もうすぐテストですね」

「う……っその話題は禁句……っ」



唐突な真鍋の話題に、あたしはわざとらしく胸をおさえて苦しむフリをした。

呆れたようにそんなあたしを見下ろしながら、また彼が口を開く。



「またそんなこと言って……どうすんですか、ちゃんと勉強してるんですか?」

「……えへっ、晴希くーん」



こんなときだけ名前で呼んで甘えた声を出すあたしに対し、やはり真鍋は深いため息。



「先輩。いつも言ってますけど、年下に勉強を教えてもらうのは、やっぱりどうかと思います」

「だ、だって真鍋、頭いーじゃん! 高2の範囲もよゆーでしょおお?!」

「………」



祈るように両手を組んで、自分的にうるうるした目で彼を見上げる。

逡巡するようにあたしから視線を外していた真鍋は、だけど諦めたように、息をついた。