しかしあたしは、それ以上何もせずにすっくと立ち上がり。

昨日の的場のように、屋上の扉に向かって、スタスタ歩き出した。

後ろから「えっ、これだけ?!」と、期待を裏切られたような、アイツの叫びが聞こえてくる



ふっふっふ、そうでしょう。

中途半端なムラムラ感が、行き場をなくしているでしょう。

だからあたしを、早く的場のモノにしてよ。


初めて的場に勝ったあたしはそこで振り返り、にっこり笑ってやった。



「続きは付き合ってくれたら、ね。的場」



再び、前を向いて歩きだしながら。

首筋についたあのキスマークが消えるまで、あの無気力男は嫌でもあたしのことを考えざるをえないんだと思うと、自然に顔が緩んでいた。

さてこれから、どんなアプローチをしてやろうか?










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