「……的場。昨日のアレ、何なの?」

「“昨日のアレ”って?」



的場が、相変わらず片腕を目の上にかざしたまま応える。

あたしの不機嫌度メーターが、また上がった。



「──そう。それじゃああたしが昨日言ったことを、もう一度言うわ」



言いながらあたしは、その場に立ち上がる。

すぅっと、小さく息を吸った。



「……的場のことが、すきなんだけど」

「ふーん」

「だから、その『ふーん』ってなんなのよ!!」


あたしが軽く声を荒げてみても、的場はだらけたそのままの体制で、やはり寝転がっている。

そんな的場の姿を見下ろしながら、あたしは昨日の学校からの帰り道でのことを、思い出していた。