─試合後─


結局、試合はH校に負けてしまった。

中には俺のミスも含まれている。

だけど俺はそんなことに構っている暇もなく、体育館の片付けをとっとと終わらせ、先輩のところに走った。


「そんな急がなくても俺、逃げたりしないよ」


先輩は少し不機嫌そうにそう言った。


「そりゃよかったです」

「で、話って?」


さっそく話題に入ることにした。


「こないだ、学際に先輩の彼女さんが来ました。それで、三瀬を傷付けました。先輩は、そのを知っていましたか」

「!?なんだそれ、知らないぞ。サクラが?」

「そうです。あと、先輩の本音はなんですか。本当にサクラさんが好きなんですか。三瀬にその気がないなら、三瀬が傷つくようなことは金輪際やめてもらえますか」

「・・・っ。俺は・・・」

「はっきりして下さい。俺は三瀬を傷付けるヤツが誰であろうと、許さない」

「・・・・・俺に、心向ちゃんを好きになる資格はない」


先輩は少しの沈黙の後、学校を去ってしまった。

あれほど言いたいことがあったのに、先輩のあの言葉で動揺してしまった。



"俺に、心向ちゃんを好きになる資格はない"