保健室につくと誰一人いなかった。

え、てことは・・・私・・・先輩と二人・・・!?むむ、無理!緊張しすぎて膝の傷よりも辛いよぉ!!


「そこの水道でガーゼ濡らして疵口の砂とか取っておいて。俺、消毒液もってくるから」


先輩はそう言って救急箱を探り出した。

私は先輩に言われた通り渡されたガーゼを水道の水で濡らして疵口に当てた。

あぁ、もう。心臓が煩い。顔に出てないかな?私。


「取れた?」


先輩は長椅子に座った私の前にしゃがみ、私にそう言った。

う、わ・・・っ。近いよぉ。本当もう、死んじゃいそう・・・っ。


「消毒するよ。ちょっと沁(し)みるかもしれないけど我慢してね」


すると先輩は消毒液を染み込ませたガーゼを膝の疵口に当てた。

消毒が終わると絆創膏を貼ってくれた。

絆創膏なんて貼ったのいつぶりだろう。


「はい、これで終わり!立てる?まあ今日はもう無理しないほうがいいよ。傷も結構深かったし」


先輩の優しさに手当てが終わることが名残惜しく感じた。

あ、もう、終わりか。もうちょっと・・・。

相変わらず心臓は煩いままだけどなぜかこの空間が心地よく思えた。