そして、瑠樹が持ってきた毛布を被せ、美亜里ちゃんが準備した氷を気を失っている葵ちゃんの頬に軽く当てるのは、俺ではなく美亜里ちゃん。

『すごい腫れてる…一体、女の子にどんな力で叩いたの?』

『え!?叩いたの俺じゃねぇし!!』

近くに座って葵ちゃんの様子を伺う。

とりあえず…よかった。

ホッと安心する俺と葵ちゃんをじーっと見る瑠樹。


『こいつが葵だよな?…なんかさー、こいつ美亜里に似てね?』

『あ、私も思った。』

すると瑠樹は俺をゆっくりと睨む。

『まさか…お前未練なんてないよな…?』

『んなわけ。』

『だよなー。』

『俺…こいつにゾッコンだし。』

そう言うと『ふーん。』と言って座った。



すると…『…ん…』と聞こえた。

『わ…ごめんね?痛かった??』


『……んん?』


『葵ちゃん!』

意識が戻った葵ちゃん。

『相澤先輩…?』


俺の顔を見てから天井に視線を移す。

『ここは…??』

『俺の友達の家!』

『そうなんです…か!?』


そしてゆっくりと、葵ちゃんが視線を移した先には…美亜里ちゃん。


『えぇ!!??私!?』


『えへへ♪初めてまして。私は七瀬君の友達の山岡美亜里です。』

『あ、杉田葵です!』

『安達瑠樹でーす。』

『え!?』


瑠樹には気づいてなかったのか。


『ちなみに、ここ 俺の家な。』

『そ、そーなんですか!?す、すみません…』

『いやいや。とんでもない。』

そう言うと瑠樹は立ち上がった。

『美亜里。腹減った。メシ食いに行こーぜ。』


『え、ま、待って!!あ、はい!葵ちゃん、これで頬っぺた冷やしてね!』


そういうと瑠樹と家を出ていった美亜里ちゃん。


つまり…ふたりっきり。