俺は葵ちゃんを抱き上げると一目散に走った。
『…くそっ!!』
もっと早く走れねぇのかよ!!
自分に何度も言い聞かせてやっと辿り着いたのは…。
『あ、七瀬君ー!!どうし……え!?』
病院ではなく、瑠樹の家。
能天気に後ろから聞こえた声に振り向くとそこには美亜里ちゃんの姿が。
だけど、葵ちゃんの姿を見てギョッとする。
『え、あ、い、生きてるよね!?とりあえず入って!!早く!!』
髪の毛であんまり見えない葵ちゃんの顔を見ながら慌てて扉を開ける。
『瑠樹!!今すぐに毛布と消毒液用意して!!』
入ってそうそう、大声で言う美亜里ちゃん。
『あー?なんでだよ~だっりぃー。』
玄関にいる俺らの様子は一枚の扉があり瑠樹には見えていない。
俺は葵ちゃんに気をつかいながらも急いでリビングに向かう。
美亜里ちゃんが扉を開けると、そこいたのはソファに寝転びながらテレビを見ている瑠樹。
こいつ~!!
だけど、入ってきた俺らを見た瞬間、『は!?』と言って立ち上がった。
『そのソファに寝かせて!!瑠樹!早く毛布持ってきて!』
『お、おぉ…』
葵ちゃんを見ながらも慌てて毛布を取りに行く瑠樹。
美亜里ちゃんは、ビニール袋に氷を入れていた。
さすが…頼りになる。


