そう思った次の瞬間。
『助けて…相澤先輩!!!!』
俺はその声を聞いた瞬間、音楽室のドアを思いっきり開けた。
一斉に集まる視線。
だけど…唯一、こちらを向かないのは葵。
三上に胸ぐらを掴まれ、ガックリと項垂れている。
黒色の髪をぐちゃぐちゃに乱して。
瑠樹…俺はヒーローになれたのか?
もう、無理な気かするよ。俺はこいつらを殺してまいそうだ。
『もう…こりごりだ。』
そう言うと5人の全員を片っ端から睨む。
『今すぐ黙って全員消え失せろ。そして…俺と葵の前に二度と姿を現せるな。』
『あ…ぃ』
『行けっつてんのが聞こえねぇのか!!!!???』
三上率いる女達は黙って走り去った。
姿が見えなくなったのを確認するとすぐに葵ちゃんに駆け寄る。
『葵ちゃん…』
頬っぺたが赤く腫れ上がり、口を切って血を流している葵ちゃん。
『あ…い……ざゎ…………せ…ん…ぱ…ぃ…?』
『そうだよ…。ごめんな。俺のせいで…。』
必死に喋る葵ちゃん。
もぅ…喋らなくていいから…!
だけど、葵ちゃんはニッコリと笑うと
『相…澤…先輩……は、私…の…ヒーロー…です。』
そう言って力なく項垂れた。
『葵ちゃん?葵ちゃん…!?おい、起きろよ!!葵!!!!』


