その子の名前は杉田葵(スギタ アオイ)。

俺のひとつ下の高校一年生。



まーね、自分で言うのもなんだけどモテるのよ。俺。


で、毎回女の子達が大人数で押し掛けてくるのね。



ま、モテるのに悪い気はしないけどさー団体行動っつーの?それがキライなわけ。



で、葵ちゃんはその押し掛けの中にいたんだって。

正直、俺は気づかなかったけど。


葵ちゃんと俺が出会ったのはある日の放課後。


俺が友達と校庭でサッカーして遊んでたら、ふと5人くらいの女子とその後ろを歩く1人の女子がいたのが見えた。



『…いじめか?』



俺はサッカーを抜け出し、女子達の後を追った。


しばらく歩いていると女の怒鳴る声が聞こえた。


『だから、あんたみたいなのが相澤君の追っかけしてると相澤君の好感度が下がるっつてんの!!』


…は?


俺??



声のする方を見ると壁に1人の女子を追い詰めて周りで5人が囲っていた。


怒鳴られた女は小刻みに震えながらも必死に反論する。


『で…も…わた…し…あい…ざ…わ先…輩の…事が…』


そこまで言うとリーダーっぽい派手な女子が女に近づく。


『あんたなんか…好きになってもらうわけないでしょ!?』


そう言って思いっきり片手を振り上げる。


え、ちょっ…!!


慌てて飛び出した俺はそのまま女を引っ張り片手で抱き締めて殴ろうとする女の片手を掴んだ。


『…え??』


周りの女が俺を見た瞬間に目を見開く。



『な、なんで相澤君が…?』