瞬君が私の顔を覗きこむ。

ぐっと近くなる顔と顔の距離。

「私、このままじゃだめだよね…ごめんね、こんな先輩で…」

なんでだろう、瞬君には本音を話せちゃう。

瞬君なら、聞いてくれるって思っちゃう。

後輩なのに、頼ってしまう。

結局私、人に頼ってばかり。

「そんなことないですよ!俺は桃先輩が先輩ですげえ良かったって毎日思ってます。俺もまだまだ下手くそだし、もっともっと桃先輩に教えてもらいたいです!」

瞬君の言葉に胸が熱くなる。

「ありがとう。瞬君、私も瞬君が後輩で嬉しい…」

瞬君の優しさには本当に救われる。

「っ…」

瞬君を見上げると、なぜか少しだけ頬が赤く見えたのは気のせいかな。

「桃先輩、頑張りましょう!」

そう言って癒やしの笑顔で笑う瞬君。


こんな私でも、先輩として認めてくれてるんだ。

瞬君のためにも、しっかり役割を全うしなきゃ!

「よし、練習しよう。じゃあBから!」

「はい!」