「梅酒ロックに冷酒。それと柚子シャーベットと冷や奴二つに焼き鳥の盛り合わせをお願いします」
 ぼくがそう注文すると、店員さんは注文を繰り返して確認した。
 「ああ。すみませんが、シャーベットはお酒の次に持ってきて下さい」
 ぼくがそう言うと、店員さんは一瞬だけ怪訝な表情を見せ、「はい。わかりました」と言って去っていった。
 「相変わらずね~」
 ヒロコはぼくの日本酒を取り上げてちびり。
 ああ。ぼくのお酒。
 「仕方ありません。甘いものは、ぼくの生命線ですから」
 「でしょうね」
 ヒロコは肩を竦め、日本酒を呷った。
 やれやれ。相変わらずよく呑むね。
 「お待たせしました」
 店員さんが梅酒ロックと冷酒を持ってくる。
 「うん。美味い」
 ヒロコは梅酒を一口呑んで、ご満悦。
 ぼくも日本酒をちびり。
 それから直ぐに、柚子シャーベットも届いた。
 小振りなスプーンで掬い、一口パクり。
 途端、軽く酸味の効いた甘酸っぱい味が口内に広がる。
 「うん。美味しい」
 ぼくはそう言って、柚子シャーベットに日本酒を掛けた。
 「またか」
 ヒロコはやれやれといった感じで、肩を竦める仕草。
 「ええ」
 ぼくは頷いて、柚子シャーベットを再び口に運ぶ。