猫を離せない総長さんの話Ⅰ



「そ、それ以上近づいたら…」

「近づいたら?」

…なんもいえないわよ!
ぐるぐると思考を回転させていると。

ぐいっと腕を掴んで引き寄せられて、ふわりと腕に、閉じ込められた。


「つーかーまーえーたー。」

相変わらず抑揚のない声でそういう圭人にドキドキどころか冷や汗が止まらない。

「離して。」

「いや。」

グイグイと圭人の胸板を押すけれど当然びくともしなくて。

「はなして!」

という言葉とともに渾身の力でぐっと押すと