猫を離せない総長さんの話Ⅰ




「猫、こっちこい。」

有無を言わさない声音に息を呑みながらふるふると首を横に振る私。

それを見た圭人は立ち上がって私に近づいてくる。

…つ、捕まったら終わり。
私の本能がそう訴える。
わかってる、わかってるのだけれど。

この狭い家の中隠れるところなんてないのだよ!


「おいで、猫ちゃん」

不敵に笑いながら余裕しゃくしゃくな様子で近づいてくる奴。