猫を離せない総長さんの話Ⅰ



…ん?
猫に触れるとどこかで香ったことのある匂いが鼻についた。

…なんだっけ。

「好きだろ。ってかなんか、匂い…」

そう言って猫の周りの匂いをくんくんかくと、顔を引きつらせた猫がそれこそ猫のように飛びのいた。

「な、なに。犬みたいに。匂いってほら、ご飯作ってるから」

話をはぐらかすようにそういう猫を怪しく思いながらも、あえて触れないことにした。


「ふぅん。ご飯ねぇ…」