猫を離せない総長さんの話Ⅰ




つまらない話に相槌を打っていると。

「あぶねぇ!」

その声に振り返ろうとするとほぼ同時に

ーーうそっ

怪我をしてはいるだろう雅圭人の後頭部にサッカーボールが命中。

男子たちは恐ろしさに押し黙り、女子たちの金切り声が響いた。

「え、ちょ…大丈夫なわけ?」

頭を抑える雅圭人に怪我を知る私はつい普通に声をかけてしまった。

何かに気づいたようにふと顔を上げる雅圭人。
しまった!と思ったけれど、怪訝そうに見ているだけでばれてはいない。


「や、やだぁ〜、大丈夫ぅ?保健室、行く?」


慌てて取り繕うように演じた最低女はいつになく白々しく響いた。