猫を離せない総長さんの話Ⅰ




圭人side

あの日俺を助けた猫と過ごした少しの時間はすごく居心地が良くて、帰りたくなかったけど、迷惑だと思って帰った。

同じ学校だからいずれ会えるだろうとも思っていた。

だが。


「どういうことだよ。」

どこ探してもいなかった。
あの容姿ならすぐ目に付くはずだ。
スイナ、って奴もどこにもいなかった。

「御機嫌斜めだね、圭人。」

青の幹部である水城樹(みずきたつき)が面白そうに圭人を見る。

「…確かにここの制服だった。」

不服そうに言う圭人は、ペットが見つからない飼い主みたいで、幹部たちのツボだった。


「とはいっても、もう探し尽くしたけど?」

メガネを押し上げてそういう河瀬匠(かわせたくみ)

「諦めたら?」

めんどくさそうに言う滝口翔(たきぐちしょう)

「やだ。絶対見つける。」


静かに言う圭人をみて幹部全員が諦めさせるのは不可能と悟った上にそこまでさせた女に興味を持った。