猫を離せない総長さんの話Ⅰ



「家柄ってそんなに大事でしょうか。」

ずっと黙っていた翠が静かに言葉を発した。

騒ぎを知る全ての人が耳を傾けているようだった。

「大事に決まってるじゃない!」

勝ち誇ったかのように言う女の声が痛々しいほど響いた。