馬乗りになって殴り続けてる圭人の腕にそっと触れた。 いつかみたいに。 「けーと、大丈夫、もう。死んじゃうよ。けーと。家に帰ろう。」 圭人は思い出したように動きを止めた。 「翠。」 ゆっくりと私を見る圭人はいつもの圭人。 「帰ろ」 そう言って抱きしめた。 あられもない姿で恥ずかしかったけど、そんなことを言ってる余裕はない。 私に圭人の着ていた紺色のセーターを着せて、歩いて帰った。 一言も話さなかったけど、繋がれた手と帰るという気持ちは同じだった。