猫を離せない総長さんの話Ⅰ




…だめだ。

最近忘れかけてた恐怖が蘇る。

『翠、つーかまえた♪』

カタカタと体が震え出す。

「震えちゃって。あんまり強情だと、襲っちゃうよ?…今はナイトいないしな。」

「…離して。」

離して。

「俺の女になる?」

落としたと思ってる顔で甘く聞くいけチャラ。

そこだけ見たらどこぞの少女漫画のよう。

「…いや。離して。」

顔の近さと身動きの取れなさに恐怖を抱いて震えながらもそう言う。