猫を離せない総長さんの話Ⅰ



ガラガラ…

教室に入ると訪れる沈黙。

OKここまではいつも通り。


今までと違ったのは、この後の圭人への黄色い歓声も、「私」への男子のアピールもないってことだ。


「け、圭人君、そこの女は?」


いつも主になって圭人を囲んでいるクラスのドン的な存在の女子がおずおずと言った風に聞いた。

のにもかかわらず、視界に入っていないかのようにスルーして席に向かう。


とはいえ代わりに応えることもできないので、同じようにスルーして席についた。