猫を離せない総長さんの話Ⅰ



圭人side


伸びをして寝室を出るとこっぷを両手で持ってぶどうジュースを飲む翠。


そんなとこを見て嬉しいと思う俺は重症だろう。
自覚済みだ。


洗面所で顔を洗って軽く髪を整えて戻ると、寝癖のついた髪で苺大福を幸せそうに頬張る翠。

目を細めて口の周りや指についた粉を舐める姿は毛づくろいする猫そのもの。


ここまでハマるもんか、と感心しながら見ていると、視線に気づいた翠がこっちに寄ってきた。


「食料見当たらないけど…朝ごはんあるの」

苺大福食べちゃった、と眉尻を下げて言う猫もとい翠。

「大丈夫だ、俺朝食べないから」

頭を撫でながらそう言うと珍しく強い口調で

「そんなのだめだ。ちゃんと食べろ。」

撫でてた腕を掴んでやめさせながら言った。