風呂から出ると猫は閉じそうな目を必死に開けながらカクンカクンと首を傾けていた。
隣に座ると、やっと俺が風呂から出たことに気づいたのかピクリと肩を揺らした。
「先寝てもよかったのに」
首をゆっくりとふる翠の頭を撫でるとまだ生乾きで、ため息をつきながら立ち上がった。
ドライヤーを持ってくると優しく乾かしてやる。
「本当世話焼き…」
そういいながらも気持ち良さそうに身を委ねる翠に俺は何かが満たされるのを感じた。
こんなに女に甘いタイプじゃないんだけどな。
人生何があるかわからない、と思う。
この話をあいつらにしたらどういう反応するかな、と思うと楽しみでもあった。


