猫を離せない総長さんの話Ⅰ




翠が戻ってきてそのまま店を出た。

女将さんはにこにこして俺たちを見送ってくれた。

「いい店だな。」

そう言うと翠は微笑んで、でしょっと言った。

「明日は朝から買い物ねー、あなたの家には何もなさすぎるわ」

呆れたように言う翠が可愛くて、そっと手を握った。

「ちょっと、手!」

「手が何?」

「…もういいわ。」