猫を離せない総長さんの話Ⅰ




「…それで?」

「他人に、それも同年代の男の子にこんなに心を許しているあの子を見るのは初めてなのよ。
こんなことを頼むのはあなたには負担かもしれないけれど、あの子をよろしく頼むわ。」

真剣な顔をしていう裕子さん。
今までの翠を見てきてそういうのだから、あいつの背負っているものは俺の想像を超えるのかもしれない。


それでも。

「頼まれなくても。俺、あいつ気に入ったので。絶対手放したくないですよ。」

そう言って笑って見せた俺をみて

「ありがとう」

と、安心した笑顔でいった。