猫を離せない総長さんの話Ⅰ



「何か話してよ、声が聞きたいな。」

話せるわけない。
もともと、あれから私は『三上翠』でないと、人と、とりわけ男と関われなくなっていた。

例外は雅圭人。
助けるために必死だったと結論付けたけど。


「おい、この子、ヤバくない?」

翠の変化に気づいた茶色2が焦ったように言い出した。

今の翠は、不自然なほどカタカタと震えが止まらなく、目も虚ろだった。

「なにいってんだよ?…いこっか、お姉さん。」

掴まれた部分から広がる悪寒は完全に翠を支配していて。

「…や。…て、……と…」

やっと絞り出した声は。

「なに?」

「…ぃや。助けて、助けて、圭人っ」