徐々にひまわり組の中に子供達が増えてくる。
淡いピンク色の壁紙には、子供達の写真が飾られていた。
ゆき先生と二人で作った色紙の動物達が、子供達の写真の周りに貼られている。
あんぱんまんの壁掛け時計は九時すぎ。
拓海は部屋を見回す。
子供達が笑いながら遊んでる。
今もあの力があったのなら、この部屋はきっと虹色に輝いてみえるだろうな。
拓海はそんな風に考える。
拓海は昔から人の色が見えた。
それをオーラと呼ぶ人もいるけれど、拓海はその光が何なのか知らない。
ただ、子供の色は特別にきれいだった。
きらきらと輝いていて、現実世界のものとはまったく違っていた。
けれどあの日以来、拓海はその力を失ってしまった。
そろそろ時間だ。
朝の会がはじまる。
飯田先生のピアノは心地よい。
「おはようのうた」を全員で歌う。
拓海とゆきは、落ち着かない子や、泣き止めない子を膝に乗せ、一緒に歌った。
可愛い歌声がクラスに満ちる。
拓海はリズムを取りながら、子供達の様子を見る。
ちらっとゆきを見た。
ゆきのことが大好きで、いつもついて回っている、ゆうたという男の子を膝に乗せている。
ゆきは時々ゆうたの頭をなで、手でリズムをとる。
ゆうたの顔を覗き込み、笑いかける。
ゆきはふとこちらを見た。
拓海は内心慌てる。
ゆきはにこっと笑うと、また視線を飯田先生に戻した。
話さなくちゃ。
拓海は勇気を奮い立たせる。
このままあやふやにして、いいことはないんだから。

