<こちらです>


キクリと名乗る少女が足を止めたのは、


一件の屋敷だった。



真依<ここですか?>


キクリ<えぇ>



雪乃<―――――――――>



キクリ<私です>



キクリはドアの近くで言った。



<お疲れ様>


ドアが開いた。



誰も触れていないのに!



雪乃<ただ者じゃない――――――>


雪乃は斗真に報告するべきか悩む。



キクリ<参りましょう>




キクリに言われ、室内へ。





<いらっしゃいませ>



中は純和風な部屋だった。



落ち着くところだ。


キクリ<連れて参りました>



<ありがとう>



可憐な少女の声だった。


<久しぶりね。雪乃さん>



雪乃<え>


雪乃は少女を見た。


黒髪に、桜色の和服の少女。


名前は、