俺に溺れてみる?






バッチリ目が合った。


……それから。



「 こ の み 」


口パクでそう言ったあっくんは、昔と変わらない笑顔を残してから教室を去っていった。



「このみズルいー! 交代してよ、そのプリント持っていく係ー!」



横から不満そうに言ってくる美奈の声も思いっきり無視して、あたしは呆然としていた。



ーー帰りのHR後。



「あたしもついていこうか?」


「大丈夫だよ」


「プリント落としたりしない?」


「しないから。 美奈は先に帰ってていいよ」



……さっきから、このやり取りを何回したことか。


帰りのHRも終わり、数学のプリントを提出しに行かなきゃいけないんだけど……。