ちょうど、あっくんを見た瞬間、また目が合った。
さっきみたいな優しい笑顔ではなくて、どこか意地悪そうなニヤリとした笑みだった。
「1番うしろの青ざめてる、柴咲(しばさき)。 集めて数学準備室まで持ってこい」
あっくんがそう言った瞬間、美奈がすごい勢いであたしを見た。
し、しば、柴咲って……!
あたし――っ!?
「号令よろしくー」
「起立、礼!」
「ありがとうございましたー」
あたしがポカーンとしている間に授業が終わってしまった……!
号令を終えると、あっくんは教卓の荷物を素早くまとめ、すぐさま出ていく……と思いきや。



