焦らしていく俺に彼女は瞳にたくさんの雫を作って、
ぽたぽたと落としていく。


「ふ…ゆきさん…は?」

今にも崩れてしまいそう声色で彼女はそういった。

俺は優しく彼女の頭を撫で、
柔らかい栗色の髪に指を通していく。





「一度しか…言わないからな。」


俺がそういうと、まるで返事をしたかのように、
彼女は俺の服を掴みなおす。


「俺も…

……好きだよ。」




――彼女との出会いは今年の夏の終わりだった。