「…うん。」

俺の上着の袖を掴んで、頬を赤く染めて、
恥ずかしそうに頷いている彼女の顔を見て俺は生唾を飲み込む。

「俺だけなんだ?」

また彼女の耳元で呟くと彼女は大きな潤んだ瞳で俺を見上げる。

焦点が定まらず、目線を泳がせて困惑している彼女の頬に優しく触れ、
割れ物を扱うかのように俺は頬を撫でる。

「…ふゆ…き…」

小さな声でそうつぶやく彼女に欲情をしてしまいそうになる。
その愛らしい顔で、愛おしいと思う声で
一番俺が欲情する声色で、俺の名前を呼んでいる。

…あぁ
愛おしい。
狂ってしまうほど彼女が愛おしい。

今すぐにでも自分の腕の中に引き寄せて、俺だけの“モノ”にしてしまいたい。


「…あかんって…」

消えそうな声でつぶやき、俺の顔を下からそっと見上げる。


あぁ、“たまらない”

彼女の表情1つ1つが、
声が、

俺を

狂わせていく。


「…好き…」

ぎゅっと俺の服を握って、手を震わせてまるで何かに怯えるかの様な彼女に
俺は顔の緩みを隠せずにいられない。

いつもの眩しい笑顔の可愛らしい女の子が
俺の前で、俺の前だけで頬を赤らめ目をうるませて…