「相澤空夜?」

「…………」

無言で私を後ろから抱きしめる空夜。

「え、ちょ、今までそんなことなかったのになんで!?」

目を丸くする雷を前にして、空夜は更に私を抱きしめる腕の力を強め、そして一言。

「……こいつ、俺のなんで」

さも当たり前といったような態度だけど、私は顔が熱くなるのを感じて俯いた。

「……はっ?」

「あ゙!?」

「えぇええー!!?」

「ふふっ、やっぱりかー」

「……なっ!?」

「はぁ!?」

雷、龍也、飛鳥、直、秋人、蓮の多種多彩な声が、 太陽の光が差し込む、温かな理事長室に響き渡った。

その部屋の窓の向こう。

そこには、日差しを受けながら白い鳥が一羽、その翼をきらめかせて、広い青空を横切っていった──