「……春輝」

「?」

なんでお前はそんなに無防備なんだ…。

ベッドの上にちょこんと座る春輝。

「お前、自分がなにしてるか分かってんのか?」

「……ベッドに座ってる」

…ダメだこりゃ。全然わかってねぇ……。

それ以外に何かあるの?とでも言いたげに不思議そうに俺を見る春輝は、もうウィッグもカラコンもしていなかった。

俺はベッドに近づくと、春輝の隣に座った。

「……空夜?」

澄んだ声音が俺の鼓膜を震わせる。

愛しくて、愛しくて、愛しくて。

こいつが寝てるとき、あんなにも聞きたかったこの声。

一回だけでもいいから聞きたいと思っていたのに、いざそうなればもっと聞きたくなって。

もっと俺を見て欲しくて、俺のことを求めて欲しくて。

そんな終わりのない欲求に身を任せ、俺は目の前で俺を見上げる小さな愛しい奴を抱きしめた。

「!?」

驚いたらしい春輝が、身体をビクッと跳ねさせた。

それにも構わずに腕に力を込めると、春輝は身体の力を抜いた。