春輝は、赤城啓悟の話をしたら少しだけ悲しそうな顔を見せたが、すぐに「……そっか」とだけ言って顔を背け、窓から覗く空を見上げたと思ったら、「あ、晴れてる」と呟いた。

その日は、まさに春がきたとでもいうような快晴。

雲一つない青空だった。







「はーるきー!!退院おめでとー!」

飛鳥のそんな声にハッとして俺は思考を遮断させた。

いつの間にか自分の世界みてぇなとこに入り込んでたか…。

目の前には、看護師に花束を渡されて戸惑っている春輝がいる。

飛鳥はそんな春輝に笑いかけていて、直もその光景にクスクスと笑っているし、秋人も蓮もなんだか嬉しそうだ。

「春輝!?明日から学校来るよな!!?」

「雷、お前は少し黙れ。そして落ち着け。
明日は土曜日だ」

雷さんも龍也さんもいつも通りのコンビ。

「他の族の先代とはいえ、なんか笑わずにはいられないなぁ…ははっ!」

「なっ!おいこらえーと…海!!
お前ひどくないか!?」

「一週間に一回くらいは会ってたんですから、人の名前くらいは覚えててくださいよ。理事長?」

「なんだその嫌みったらしい言い方は!!」

「あれ?さすがにバレちゃったか」

「んなっ!?ちょっ、龍也!こいつひどいんだけど!!」

「ホント、こいつ理事長できてんのが信じられねぇよな?」

「えぇ。ほんとに」

「二人とも何で意気投合してんの!?」

意外と、雷さんと海さんのコンビもおもしれぇけど。……そこに龍也さんが加わったら尚更な。